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glut1異常症患者会


glut1異常症患者会は、主として、Glut-1欠損症(異常症)の患者並びにその家族等への精神的な互助、医師及び社会に対する啓蒙活動等を目的として、平成20年6月に発足した患者会です。

グルコーストランスポーター1欠損症(異常症)とは?

グルコーストランスポーター1欠損症(異常症)(以下「Glut-1欠損症」という)は、脳にブドウ糖(グルコース)を取り込むための輸送体(トランスポーター)の遺伝子異常により、脳内に糖を取り込むことができず、脳が慢性的なエネルギー不足となることで、神経活動に異常を来たし、さまざまな神経症状が出る先天性の代謝疾患です。検査では、髄液検査で髄液糖が低値であることが特徴的です。

治療には、脳のエネルギー源として、ブドウ糖の代わりにケトン体を使えるようにするケトン食療法・修正アトキンズ食療法があり、継続することで神経症状(失調・てんかん・知的障害等)が良くなることが知られています。

ケトン食療法とは?

食事中の炭水化物とタンパク質の量を減らし、脂肪を増やす特殊な食事療法です。

このような食事を続けると体は炭水化物を利用できないので、脂肪をもとにケトン体を作り、そのケトン体を主要なエネルギー源として使い始めます。もともと脳内のブドウ糖が足りず、エネルギー不足の状態にあるGlut-1欠損症の患者は、ブドウ糖の代わりにケトン体を使うことで症状が改善されると考えられています。

昨今では、ケトン食療法に代わって炭水化物の制限のみで行うアトキンス変法(修正アトキンズ食療法)も有効とされていますが、Glut-1欠損症の治療には有効な薬はなく、唯一の治療法が食事療法のため、患者家族の日々の負担は大きく、将来への不安も拭い去れません。

症状・特徴

1.てんかん

通常、生後すぐには出現せず、生後2-3ヵ月ごろから、部分発作で発症することが多い。通常の抗てんかん薬は無効のことが多く、徐々に発作頻度は増えていく。

てんかん発作に似た症状として、ボーッとして周囲からの刺激に反応しなくなり、動かなくなる全身脱力状態が数分〜数十分持続することがある。

2.運動失調

体の運動の細かいコントロールができない。体がふらついてうまく歩けない・立てない・座れない、胴体をしゃんと立てることができない、手先が不器用、発声(構音)がうまくできないなど、さまざまな症状が現れる。

3.不随意運動

手足を動かして何かをしようとすると、うまく力が入らずに手足をくねくねさせてしまうアテトーゼや変な具合に力が入って手足をねじれさせてしまうジストニアなどが出現。

4.異常眼球運動

生後2-3ヵ月ごろから、目がぐるぐるとランダムに動く異常眼球運動を呈することがある。

5.痙性両麻痺

足の指や足の関節が固くなって上手に動かせない。

6.精神運動発達遅滞

運動発達が全体に遅れる。また、知的発達の遅れもみられる。

上記1〜3の症状は、空腹時、特に早朝空腹時に悪化することが多い。 早朝に発作が起きるということから病気を疑われて診断がつくこともある。 疲労時、感染時、時に入浴や運動がきっかけになって悪化することもある。

診断・検査

一般的な検査

血液・尿検査:異常なし。

頭部CT・MRI:多くは正常。

脳波:てんかんがあっても正常な人もいる。空腹時に異常が出やすく、食後に改善することが特徴。

髄液検査:空腹時の髄液糖が40mg/dl未満、髄液糖/血糖比が0.4未満(正常は0.6-0.7)となり、診断に結び付く重要な検査となる。

特殊な検査

3-OMG赤血球取込み試験:赤血球膜上のGlut-1の活性を調べる。

遺伝子検査:Glut-1の遺伝子(SLC2A1)に異常が生じていないか、遺伝子の配列を直接調べる。

遺伝子異常が見つかれば、原則的にGlut-1欠損症の診断は確定。Glut-1欠損症の患者の80%で遺伝子異常が見つかると言われている。

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